劇団プロジェクトニュートラル第8回公演

兜-kabuto-

公演データ

作・渡辺浩一/蛯原ミサイル 演出・渡辺浩一

照明・松本伸一郎 音響・河野恒彦(フリーウェイ)

宣伝美術・蛯原ミサイル 舞台監督・D1

衣装デザイン・MIYA 衣装製作・渡辺勝子/長浜良子

制作・兜製作委員会

CAST

クロガネ(凶耕介)・里中龍児

メイファー/華井環・中村容子

坂本ケイン・山岸拓也

ゴーリキ・渡辺浩一

ゼロ(氷室零司)・尾花雅之

ガンジー・土居清光

 ジャンヌ/小林少女さん・伏見実千代

リョウマ・壱森マサヒロ(シリアルナンバーズ)

武田少年君・大場達也(シリアルナンバーズ)

2001年1月12日〜15日 高円寺明石スタジオ


ストーリー

西暦2212年、火星ジオフロントに建設された、日本の高度成長期を彷彿とさせる町「昭和町」に、全身黒ずくめの男がやってきた。彼の名は「クロガネ」

遙か昔、ある科学者にサイボーグ手術をされ、その記憶までも封印されてしまった彼に、唯一残された言葉「メイファー」を探すためである。

クロガネを追うインターポール・坂本ケインチーム、火星解放を唱えるレジスタンス達。錯綜する彼らを冷ややかに見つめる「独裁者ゼロ」

昭和町に秘められた謎。「クロガネ」「ゼロ」「メイファー」の過去。

全ては火星崩壊プログラム「プログラムメイファー」の中に・・・。


こぼれ話

これは何だったんだろう。SFをやりたいって話から始まって、主宰の「フランケンシュタインの怪物みたいなのが、純粋に一人の女性を追う話」がしたい。になって、それを聞いた僕が「カブトロイド」とか「昭和町」とかの設定を考えて行き、「SFあんまり得意じゃないから話作って!」と言われて全部の設定までやる事になった作品。ふう。

もともとノスタルジックなSFが好きなもんで、たとえば昭和初期の未来像とか、大正時代のからくり人形とか、そんなSFを見てみたかったのがきっかけで、この「兜」は生まれました。

とりあえず一番先にするのはチラシの作成でした。この時に作ったベースを膨らませていくんですが、実際文章に起こすのは渡辺の仕事だったので、結構苦しんだようです。その手助けで、いろんな絵を描いていました。みなさんは初めて見るものもある事でしょう。

小さくてわかりにくいですが、こんな路線図まで用意してました。実際使う事はなかったですが。ちなみに劇中で登場したゼロのいる建物は、真ん中の「中昭和」にあります。「中昭和」の下の駅「弥生」にあるホテルに、ケイン達は泊まっていたんですね。暴走機関車は「桜離宮」「北昭和」「等々力」を通って「中昭和駅」につっこみました。ハイボールカフェは「中昭和」の右「当坂」にあります。メイファーの墓は左下の「増国」。レジスタンスのアジトは左上の「瑪瑙」にあります。でも地下組織って、ジオフロント自体地下なのに・・・。

前回の失敗から、今度の衣装は黒で行こうと早い段階から決めていました。この時の衣装はデザインから制作まである女性にお願いしました。でも、ケインとゴーリキの分が間に合わず、二人は私服で舞台に上がっていたんですねぇ。とにかく効果は絶大で、ビデオでもハレーションはおこらず、編集もせずに発売となった訳です。何故編集してないかは聞かない約束と言う事で。

割と初期に、音楽について話していて、その時は美空ひばりの「東京キッド」をかける予定でした。渡辺はこの曲を知らなかったので、蛯原はカラオケで何度も歌わされるハメになりました。丁度カットを描いていたとき、BGMでユーミンベストをかけていたんですが、その時ぴったりの曲が2曲ありまして、それを渡辺に話すと、不満顔。なにやらユーミンとサザンは小演劇ではタブーなんだとか。でもあえて使ってみることになりました。それが「春よこい」だったのです。これはクロガネ=凶耕介(まがつ・こうすけ)からメイファーへの曲イメージです。採用されずに、ビデオ編集した時にエンドタイトル曲に選んでいたのは、もう1曲の「ボイジャー〜日付のない墓標」でした。これはメイファーから耕介への曲イメージになっています。ご存知の方は、一度合わせて聞いてみてください。わりとしっくりきますよ。